対自核

セラピーの一環としての自分語り

旅行に行きたい どこでもいいから旅に出たい

 こんなに気持ちの良い日差し、気持ちの良い風が吹いているというのに仕事なんぞ

やってられないね、ということで旅に...出られないんだなこれが。社畜には無理す。

 

 その昔、僕の通っていた中学校には「机上旅行部」というシブい部活があった。

 

僕はバレー部だったので、何やってる部活なのかまったくあずかり知らなかったわけ

だが、どうも聞くところによると、部名に「旅行」とあるが、別に旅立つわけでも

なく、「ひたすら部室にこもって何やら額を寄せ合っていろいろ企てているらしい」

という情報が友人によってもたらされた。

 

怪しい。というかその当時とんでもない運動部バカだった僕は、部活の中でも一番

暗いんじゃないかと失礼なことを思ったりした。卓球部が運動部のヒエラルキーの中

では最下層(パリピ感という意味で)だった時代に、さらに超越した怪しさ爆発級の

部活があるということに衝撃を受けていた。

※卓球が上手いと温泉でなにかと役に立つということは後に知ることになる。

当時暗いとか言ってすませんでした。

 

で、その机上旅行なわけだが、親に連れていってもらうわけでなく、自分たち、友人や

兄弟と旅行に行けるような年齢になるにつれて、その真の破壊力にやがて気づき始め

た。

 

旅行に行くことになる。当然どこに行くのか、そしてなんとなくではあるが、

何か目的のようなもの、つまりはイベントはどうすんのか、とかいろいろ考えること

が出てくる。

友人と行く旅行にしても、誰かが企画立案し、段取りを決めていかなければならない。

まあたしかに、いきあたりばったりというかミステリーツアーというか、頭からっぽ

で動き出すこともままあったが、3泊4日クラスの旅行ともなるとやはり最初が肝心

なのだ。

 

で、僕はどうもそういう仕切りというか、企画してどこに寄ってどこに泊るのか、と

いったことを考えるのが大好きなのだ、ということにやがて気が付いた。

極端に言えば、段取り組んでる段階が一番楽しい。旅行自体はもうオマケなのだ。

 

だいたい一緒に行く連中は決まっていたので、その役割は自然と僕が担当することに

なっていた。というか譲らなかった。だって楽しいから。考えるのが。

 

で、たまに面白さが炸裂している旅の写真などを見て、「オレも行きたい」ってヤツ

が当然出てくるのだ。まあそいつとも良好な関係を築いていたりするわけなので、

「別にええよ」ってことになり、旅に出るのだが、またそいつが勝手に途中で

「やっぱあそこ行きたい」とか、「ここにもう一泊したい」などと、いろいろと乱し

始めるわけだ。

 

なんとなく覚悟はしていたものの、がっちりしっかりと一部の隙も無く組まれた自分

のツアーメニューをブチ壊す悪魔となり下がったヤツは速攻で退場していただく.....

こともできず。そりゃそうでしょ。途中で「お前はもう帰れ」とかさすがに言えんで

すわな。

で、すっかりつまんなくなった(たぶん自分だけだとは思うんですが。ほかの連中は

何一つ企画会議に出席するわけでもなく、ついてきてるだけ状態なのでどうでもええん

でしょう)旅路をなげやりなカンジでコンダクトするっていう地獄の時間。

 

結局、それは自分のわがままというか独りよがりだったっていうことに気づくまで

けっこう時間かかったわけなので、僕もまあたいがいアレなんですけど。

 

 

で、机上旅行部に話戻すんですが、ほとんど旅行社の企画部員みたいになってた時分

だったら秒で入部してましたね。こんな至福な時間もないですから。

 

でもまあやっぱ中学生がやる部活じゃあねえすわ。

 

旅行に行くこともできず、ひたすら自宅からショクバを旅する日々にこそ、机上旅行

のだいご味があるのだ。ただの妄想、ない物ねだりしてるだけなんですけどね。

ああ、誰も知らない場所に行ってのんびりしたい。

 

ところで誰も知らない場所ってあるんすかね。どこなんすかね。あの世かな?