対自核

セラピーの一環としての自分語り

ネコ好きの人はガチ(ネコ好きの人は読まないでください)

 世の中には、イヌ派とネコ派がいて、日々し烈な闘いをしている・・のかどうかはわからないが、数的優位で言えばネコ派やや有利といったところではないかと思う。
これは個人の感想であり・・・といった注釈がもちろんつくのだが、しかし当たっていると思う。
また、静のイヌ派、動のネコ派といったイメージがある。つまり好き度合いのアピールの強度においても圧倒的にネコ派の押し出し感が強い気がするのだ。

そしてネコ大好きが高じるとやがて宗教にまで昇華されてしまうのではないかなどと思うのである。おおげさと思われるかもしれないが、実際に身の危険を感じたことがあるのだ。

 もとになる話は、以前書いたユーレイ目撃時代のことである。わりと夜間(結構深夜にかけて)、ビョーインに出入りする仕事があり、その日も仕事が始まるのを待っていた。社用車を裏口に停めて時間をつぶしていたのだが、ふと前方を見ると、裏口のゴミ箱を1匹のネコがなにやら漁っているのが目に入った。けっこう大きなビョーインだったので、かなり大きなペール缶のようなゴミ箱が据え付けられていたのだが、半身をゴミ箱に突っ込んで、後ろ足で体重を支えているような恰好だった。

 見るともなく何気なく見ていたが、車から降りてもう少し近づいて見てみようという気になった。それくらい熱心に一心不乱に漁っているのだ。これは少しばかり近づいても気づかれないだろうという思いもあった。実際ネコのうしろ数十センチまで近づいてみたが、まったくこっちになど目もくれない。

そこで今でもなんでそんなことをしたのかわからないのだが、いきなりネコのおしりを両手でおもいっきり突いてしまった。当然、ネコはゴミ箱の中へ真っ逆さまに落ちていった(と思う)。と思うというのは、突き落とした後、すぐにゴミ箱のふたをしめてしまったからよく見ていないのだ。

ネコからするとたまったものでない所業なのだが、やってしまった。
突き落としたといっても数十センチ下のゴミに落下しただけなので、ケガをするとは思えなかったが、自分でも衝動的に行った悪魔のような行為にしばし呆然としていた。

しばらくして我に返り、声を上げることもなく消えたネコがどうなったか心配になった。
そこで、恐る恐るふたを開けた。
と、ものすごい勢いでネコが垂直に飛び上がった。2メートルは跳躍していたと思う。自分の背丈などとうに超え、上空に舞い上がったような錯覚を覚えた。垂直離着陸機みたいだった。

今度はこちらがビビって尻もちをついた。ほとんど腰が抜けたようなものだった。ネコがどこへ行ったのか確認するヒマもなかった。あれは本当にすごかった。

・・・という話を、ネコ好きの女子にとつとつと話していたのだが、だんだん顔がこわばり無言になっていくのが分かった。笑っていた顔が次第に無表情になり目の光が変わっていくのがメチャクチャ怖かった。そして絞り出すような声で「ネコ好きの人にそのような話をすると、刺されますよ・・・。」と静かに宣告された。

もうこちらはチビる寸前である。「いや、突き落としたといっても、こうソフトなタッチでネコに配慮したカンジで・・・」とか言い訳したのだが、食い気味に「そういう問題では無いです。」とおっしゃられた。目にかすかな殺意のようなものを感じ取った僕は、そうそうに退散するしかなかった。

 ユーレイ関係とかぼったくりバーとか、真夜中、走りに行った峠で、外で一服しているとき、いきなり車を発進される(冗談で置きざりごっこなんですが怖いですよ)とか、いろいろな目にあってきたが、そんなものがかすんでしまうほど怖かった。
ネコちゃんの話を聞いた女子のあの時の目が今でも忘れられない。

今までで一番怖かったことって何ですか?と聞かれたら、断トツでもう間違いなくこの時のことです。

ネコちゃんごめんなさい。